ショートショート「ぼくのいぬ」
ぼくねぇ、なおき、っていうの。
11さい。
いまね、おかあさんに「はやくねなさい。」っていわれて、
おふとんのなかであったかくしてたんだけど、
ぜんぜんねむたくならないの。
だから、ねぇ、おつきさま。ぼくのおはなし、きいてくれる?
ぼくんち、いぬがいるんだよ!
なまえはタロー。
ぼくたち、とってもなかよしなんだ!
タローはおとうさん、おかあさんともなかよしだけど、
いちばんのなかよしはぼくだ!
ぼくは、いっしょにさんぽにいくし、
シャンプーだって、さいしょはおとうさんがしてたけど、
いまではぼくがしてあげてるんだよ!
それに、ごはんをあげるのもぼくのしごと。
タローのせわはぜんぶ、ぼくがしてる。
そういうこと、さくぶんにかいたら、せんせいにほめられた。
でも、ほめられるからせわしてるんじゃないよ。
ほんとにかわいくてかわいくて、なにかしてあげたくなるんだ。
ぼく、タローのことだいすきなんだ。
だけどね、タロー、きょうはあさからなんにもたべないの。
おひるもよるも、おみずものまないの。
じっ、として目をつぶっているだけ。
おなか、すいてないのかなぁ?
のど、かわいてないのかなぁ?
ぼく、とってもしんぱいで、
ばんごはんのあとで、なんかいも見に行ったんだよ。
でもぼくのかお、ちらって見るだけなの。
いつもみたいにとびついてペロペロってなめてくれないの。
ぼくのこと、きらいになっちゃったのかな・・・。さみしいな・・・。
でも、おつきさま。
タローがぼくのこときらいでもいいから、
ごはんをたべられるようにしてあげてちょうだい。
おみずをのめるようにしてあげてちょうだい。
ごはんをたべて、おみずをのんだら、ぜったいげんきになるから、
そしたらまたぼくとあそんでくれるもん。
だから、おつきさま、おねがい・・・。
ぼくはてをあわせて、いっしょうけんめいおねがいした。
あれっ?
おとうさんがおかあさんをよんでる。
きょうは、おとうさんたちも
タローをこうたいで見てるっていってたんだけどな。
ぼくをおこるときみたいな、おおきなこえだ・・・。
なんだかこわいなぁ・・・。なんだろう?
「なおき、おきてる?」
おかさあんがきた。おかあさんの目、あかい。ないてたみたい。
「なおき。タローはね、びょうきみたいなの。
今からおとうさんが、びょういんにつれて行ってくれるからね。
おかあさんと、まっていようね。」
「やだ、タローはぼくのいぬだもん。ぼく、いっしょにいく。」
「だいじょうぶ、ちゃんと、げんきになってかえってくるから。」
「ほんと?またぼくとあそんでくれる?」
おかあさんは、すこしわらってだいどころへいった。
でも、目のところをゴシゴシこすってた。
びょういんにいったら、ほんとうにげんきになるのかな?
げんきにならなかったら、タローはどうなるんだろう?
にがぁーいおくすり、のむのかな?
いたぁーいちゅうしゃ、するのかな?
あしたのあさには、かえってくるのかな?
ねぇ、おつきさま。
あしたになったら、げんきにかえってくるよね。
かえってきたら、きょうのぶんもいっぱいあそぶんだ。
ぼくのひみつのきちもおしえてあげる。
だから、だから、おつきさま。
ぼく、ねむくなっちゃったから、ぼくのかわりにおきててね。
ぼくのいぬ、げんきになったかみててね。
ねぇ、おつきさま。
ぼくのおねがいきいてね・・・・・・・・・。
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