ショートショート小説

2008年6月10日 (火)

ショートショート「ぼくのいぬ」

[いぬ] ブログ村キーワード

ぼくねぇ、なおき、っていうの。
11さい。

いまね、おかあさんに「はやくねなさい。」っていわれて、
おふとんのなかであったかくしてたんだけど、

ぜんぜんねむたくならないの。

だから、ねぇ、おつきさま。ぼくのおはなし、きいてくれる?

ぼくんち、いぬがいるんだよ!
なまえはタロー。

ぼくたち、とってもなかよしなんだ!

タローはおとうさん、おかあさんともなかよしだけど、
いちばんのなかよしはぼくだ!

ぼくは、いっしょにさんぽにいくし、
シャンプーだって、さいしょはおとうさんがしてたけど、
いまではぼくがしてあげてるんだよ!

それに、ごはんをあげるのもぼくのしごと。
タローのせわはぜんぶ、ぼくがしてる。

そういうこと、さくぶんにかいたら、せんせいにほめられた。

でも、ほめられるからせわしてるんじゃないよ。
ほんとにかわいくてかわいくて、なにかしてあげたくなるんだ。

ぼく、タローのことだいすきなんだ。

だけどね、タロー、きょうはあさからなんにもたべないの。

おひるもよるも、おみずものまないの。
じっ、として目をつぶっているだけ。

おなか、すいてないのかなぁ?
のど、かわいてないのかなぁ?

ぼく、とってもしんぱいで、
ばんごはんのあとで、なんかいも見に行ったんだよ。

でもぼくのかお、ちらって見るだけなの。
いつもみたいにとびついてペロペロってなめてくれないの。

ぼくのこと、きらいになっちゃったのかな・・・。さみしいな・・・。

でも、おつきさま。

タローがぼくのこときらいでもいいから、

ごはんをたべられるようにしてあげてちょうだい。

おみずをのめるようにしてあげてちょうだい。

ごはんをたべて、おみずをのんだら、ぜったいげんきになるから、

そしたらまたぼくとあそんでくれるもん。

だから、おつきさま、おねがい・・・。

ぼくはてをあわせて、いっしょうけんめいおねがいした。

あれっ?

おとうさんがおかあさんをよんでる。

きょうは、おとうさんたちも

タローをこうたいで見てるっていってたんだけどな。

ぼくをおこるときみたいな、おおきなこえだ・・・。

なんだかこわいなぁ・・・。なんだろう?

「なおき、おきてる?」

おかさあんがきた。おかあさんの目、あかい。ないてたみたい。

「なおき。タローはね、びょうきみたいなの。

今からおとうさんが、びょういんにつれて行ってくれるからね。

おかあさんと、まっていようね。」 

「やだ、タローはぼくのいぬだもん。ぼく、いっしょにいく。」

「だいじょうぶ、ちゃんと、げんきになってかえってくるから。」

「ほんと?またぼくとあそんでくれる?」

おかあさんは、すこしわらってだいどころへいった。

でも、目のところをゴシゴシこすってた。

びょういんにいったら、ほんとうにげんきになるのかな?

げんきにならなかったら、タローはどうなるんだろう?

にがぁーいおくすり、のむのかな?

いたぁーいちゅうしゃ、するのかな?

あしたのあさには、かえってくるのかな?

ねぇ、おつきさま。

あしたになったら、げんきにかえってくるよね。

かえってきたら、きょうのぶんもいっぱいあそぶんだ。

ぼくのひみつのきちもおしえてあげる。

だから、だから、おつきさま。

ぼく、ねむくなっちゃったから、ぼくのかわりにおきててね。

ぼくのいぬ、げんきになったかみててね。

 

ねぇ、おつきさま。

ぼくのおねがいきいてね・・・・・・・・・。

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