[西の魔女が死んだ] ブログ村キーワード
梨木香歩さんの「西の魔女が死んだ」という小説が映画化された。
この小説を読んだときに、
生まれたときから異文化体験かよ!?マジ、うらやましっ!
・・・・と、思った。
ヨーロッパの香りがする生活。
西洋の草花たちをたくさん育てて、食事に洗濯に使い、
日本ではない暮らし方で、
当たり前のように日々を紡いできた西の魔女。
憧れた。私がその孫になりたかったよ。
でもね。
今日、他の人のブログで
「西の魔女が死んだ」の試写会を見た、
という記事を読んだとたん、
私にも、魔女がいたことを思い出した
西じゃなく、南だけど。
国としては、日本と言えば日本なんだけど
でも、私にとっては外国に等しかった。
小さな時から異文化体験していた。
琉球という外国の文化だ。
だが、沖縄ではない。
一応、鹿児島県だ。沖永良部島(おきのえらぶじま)という島だ。
鹿児島県なんだけど、限りなく沖縄に近いので、
琉球文化がこの島の文化である。
島に着いたら、赤土独特の匂いがする。
叔父、なんか匂いする、と言ったら、
そりゃ肥えの匂いやろ~なんて笑われたけど、
あれは土の匂いだ。
とてもとても、いい匂い。どこもかしこも。
ところで、言葉は島独自のものだ。
沖縄いわゆるウチナーグチとはちがう。
でも、外国語。
さっぱりわからん。
島の人たちは共通語もしゃべれるので、
大人も子供もバイリンガルである。
カッコイイ。
西の魔女はひとりで静かに暮らしていたけれど、
私の、南の魔女は、大家族で暮らしていた。
祖父・祖母(南の魔女)・次男夫婦とその子供3人。
牛2頭・にわとり数羽・・・。
庭にはモンキーバナナの木。
おまけに、誰かが帰島したーと言っては集まり、
葬式だー、結婚式だー、年の祝いだー、などなど、
なにかと理由をつけては、わらわらと人が集まる。
2~30人はいつも来ていただろうか。
ふすまを全部取っ払って、広間の真ん中は空けて
お膳が周りへぐるりと並べられる。
みんなはお膳を前に、どっかと座り込んで、飲み食いを始める。
酒は黒糖焼酎。
そのうち、誰かが謡うともなく謡いだす。
すると、
床の間のそばの人が三味線を出し、人から人の手を経て、
三味線を弾くのがうまい人に回ってくる。
三味線はいつも床の間に立てかけてある。
沖縄では皮にニシキ蛇の皮をつかう蛇皮線(じゃみせん)だが、
沖永良部島では、紙の皮を使う。
まず、三味線に紙を張る。
次に、芭蕉という木の根元を切って出てくる液(渋いらしい)を、
三味線に張った紙に塗って乾かし、
また紙を張り、液を塗っては乾かし、
・・・と紙を12~3枚張って仕上げるらしい。
このやりかたを「しぶばい」と言うそうだが、
今ではもう、職人さんがいなくて、
しかたなく、沖縄の蛇皮線を使っているそうだ。
母のお兄さんから、
上記(永良部の三味線)のことは教えていただいた。
感謝。
さて、三味線が鳴り出すと、今度は踊りだ。
歌は、いろいろ。
島独自の曲もあるし、沖縄民謡も出る。
郷愁ただよう、ゆったりとした曲からはじまるが、
宴席が盛り上がるにつれ、テンポの速い曲になる。
みんな、めっちゃ楽しそう。
でも、これも全部、わたしには意味はわかんない。
酔ったら、みな外国語だけでしゃべるし。
共通語なんか全然使ってくれない。
誰かが何かを言って、みんな、ドッと大笑いしてる。
でも、私にだけは、わかんない。
そんな時、南の魔女は、いつもそっと、私を呼びにきた。
魔女は家の隣で、店を出していた。
小さなバラック小屋だったけど、
置いてあるものは、やっぱり外国製品だった。
今から思えば、英語で書かれたピーナッツの缶詰。
同じくコンビーフ。
家の近くの駄菓子屋では見たことのない、
カラフルなお菓子たち。
子供心には、うん、ここはやっぱり外国。
ここに来るまで、とても時間がかかったし。
・・・と納得するのに十分だった。
もちろん、なじみの菓子パンなんかもあるし、
日用品も置いてある。
そんな何でも屋、なんだけど。
不思議な異国の店に見えたんだよな、これが。
おまけに、魔女は、そこに私ひとりを置いて、こう言うのだ。
「好きなもの取って、ゆっくり食べたいだけ食べていいよ。
食べ終わったら戻っておいで。」
と、優しくほほえんで。
怖い、お菓子の家じゃない。
優しい魔女のいる、お菓子の家だった。
魔女は、いつも白髪まじりの髪の毛をまとめていたけど、
時々、ほどいて髪を梳いているのを見た。
量こそ少ないけれど、長い長い髪の毛を
大事に大事に梳かし、またきれいにまとめ上げていた。
その時に使う油かな。いい匂いがしてた。
その匂いは大好きな匂いだった。
おばあちゃんなのに、とても女っぽくて、
子供心にまぶしかった。
南の魔女はもういない。
島もいろいろ変わり、あんな宴会はもうそんなに
開かれないとか。
謡う人もいなくなったらしい。
なにより昔の三味線がない。
心の中にキレイな思い出、として残っているだけ。
約束はしなかったけれど、南の魔女も、帰ってくるかな?


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